三重県松阪市で山岳修行です!過去にも数回山岳修行をしたことがありますが、今回は特に道中の行場の難易度が高くとても厳しいのだそうです。
飯福田寺
出発地点の飯福田寺は平安時代に創建された真言宗のお寺。この飯福田寺のすぐそばの山が行場です。
標高210メートル飯福田寺から標高380メートルの伊勢山上を登り、また飯福田寺まで戻ってくる約4キロの道のり。
今回は修験者の福森さんに引率していただきます。
登る前から不安を訴えるくっすんに対して福森さんがおもむろに一枚の毛皮を取り出しました。
これは修験者が身に着ける引敷と呼ばれるもので、山中で腰を下ろす時に敷物になり、また修験者にとって獣のように勇猛迅速であることを表すそうです。
今日一日この引敷をお借りすることになりました。福森さんありがとうございます!
まずは薬師堂で無事に帰ってこられるようにと祈願をして、いよいよ伊勢山上に入ります。
山に入るといきなり急斜面です。落ち葉で滑りやすい足元を確認しつつゆっくりと進みます。
歩くこと数十分、目の前に現れた岩にびっくり!一つ目の行場です。
通称油こぼし、岩の表面がとても滑りやすいことからこう呼ばれています。設置された鎖がないと登ることだできないくらいの角度、両足でしっかり踏ん張りながら一歩一歩進みます。
二人とも無事に登りきると、岩の上で役行者像が迎えてくれました。すでにこんな高いところまで来ていたんですね!眺めは最高です!
伊勢山上は701年に役行者が修行場として開き、100日間修行したと伝わっています。この修行場が現代でも守られ継承されているというのはすごいことですよね。
さらに岩場を進むと役行者を祀る岩屋本堂にたどりつきました。
そして上を見上げてまたまたびっくり!!長い年月を経て浸食された巨大な岩の真ん中にこの岩屋本堂が建てられているのです!
そして次の行場がまさにこの巨大な鐘掛岩!この岩を登り乗り越えていく伊勢山上でも最大の難関です。
この鐘掛岩は二段階にわけて上まで登ります。まずは第一段階、岩の途中のくぼみまで進みます。
命綱をしっかり身につけ、ガイドさんに指示してもらいます。
岸壁の突起部分やくぼみを掴んで登っていくのでまるでボルダリングのようです。
ただボルダリングと全然違うのは天然の岩なので握った時にとても手が痛いし足をかけにくいです。かなり苦戦しました~
そしてここから二段階目、巨岩の外側を登っていきます。
約50メートルの絶壁です。もし足を滑らせて滑落すると大変なことになります。
恐怖心に打ち勝つ精神力を培うことが目的の行場。全神経を両手両足に集中させて少しずつ登っていきます。これはかなりの緊張感ですよ!後ろを振り返らず懸命に登りました。
鐘掛岩の上まで登りきると…
うおぉぉーーーん!!やりました~~!!
くっすんの大きな泣き声と雄たけびが辺りにこだまします。山にいる野生動物たちもきっとびっくりしたでしょう。
しかし修験者の福森さんは冷静に…
全行程のまだ4分の1です
この言葉で我に返ったくっすん。引き続き山頂を目指して歩きます。
「慚愧、懺悔、六根清浄」山岳修行ではおなじみの掛け念仏を唱えながら山道を進みます。
過去にも山岳修行で掛け念仏を唱えて苦しい状況を乗り越えてきました。
山に入ってから約2時間、ようやく山頂標高380メートルの大天井に到着です~!
ここで昼食休憩。麓の町で唯一の飲食店で買ってきたお弁当をいただきます!
美味しいお弁当で元気を取り戻し再び歩き始めます。ここからは下り坂です。
すると目の前にまた大きな岩が。これが鞍掛岩、蟻の戸渡りと呼ばれ、巨岩の上のとてもせまいスペースを歩かなければなりません。
右も左も絶壁です!バランスを取りながら進みます。
そして今度は小尻返しと呼ばれる行場。大きな岩を下っていきます。登るのとは全然違う恐さがあります。下を見て足場を確認しながら下っていきます。
次はくっすんの番なのですが…恐怖からなかなか下ることができないようです。
足を滑らせて死ぬかもしれないので、最後に妻に電話をしてもいいですか?
奥さんに電話をかけるのですが
圏外でつながりません…
うううおぉ~~ん!!
またくっすんの泣き声が山々にこだまします。
岩の上で10分以上ねばったのですがついに観念したくっすん。ガイドさんにしっかりサポートしてもらいながら下り始めました。
これですべての行場をクリア、あとは山を下るだけです。
ただここまででかなり体力を消耗しているので下るのは大変。ちょっと膝が震えてきました。
そして山を登り始めて約6時間、最後は石段を下って飯福田寺のそばまで帰ってきましたー!
数々の厳しい行場を乗り越えたことによって、普段安全で平穏な生活をできていることに改めて感謝の気持ちでいっぱいです。
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