【寒中禊|鐵砲洲稲荷神社】日本修行場めぐり(東京都)

体が芯から冷えるような年明けの寒い時期に、自ら冷たい水に浸かって体を清める寒中禊かんちゅうみそぎ。東京の鐵砲洲てっぽうず稲荷神社で毎年行われる行事です。

毎年大勢の人たちがこの寒中禊に参加されるということなので、私たちも参加することに!

それにしても寒い~~!歩き始める前からあれこれ言って寒中禊をやめようとするくっすんを説得し国会議事堂前から歩き始めます。

早朝の国会議事堂からスタートです

早朝でまだ暗い中、皇居沿いを歩きます。すると歴史的に大変有名な門が見えてきました。桜田門です。

薄暗い中、桜田門が見えてきました

桜田門

桜田門といえば、日本史上の大事件桜田門外の変ですよね。1860年、江戸幕府の大老井伊直弼桜田門を出たところで暗殺されます。

雪が降り積もった桜田門で襲撃したのは水戸藩士17人と薩摩藩士1人でした。

桜田門外の変(国立国会図書館所蔵)

ではなぜ井伊直弼は暗殺されたのか、理由はいくつか挙げられます。

将軍の後継者を強引に決定
第13代将軍徳川家定の後継者に一橋慶喜を推す声が多かったにも関わらず、周囲の反対を押し切り徳川家茂を跡継ぎに決めた。

日米修好通商条約の締結
1858年、アメリカ総領事ハリスの要求に応え日本にとって不平等な日米修好通商条約を結び、これが大きな反発を招く。

安政の大獄
1858年から1859年にかけて幕府に反対した大名、公家、学者など多くの人物を処罰する。長州藩の学者吉田松陰も処刑される。

この事件で幕府の要人が殺害されたことにより幕府の権威は失墜し、明治維新に繋がったともいわれています。日本史を大きく動かした事件といっても過言ではないかもしれませんね。

静かで冷え込んだ早朝の東京を歩いていくと徐々に辺りが明るくなって人通りも増えてきました。

銀座を抜けて築地にやってくると特徴的な外観の大きな建物が!ここが築地本願寺です。

築地本願寺

とても存在感のある築地本願寺の本堂
築地本願寺
東京・築地にある築地本願寺(浄土真宗本願寺派)の公式ホームページです。京都・西本願寺を本山とし、浄土真宗の教義をひろめ、 心豊かな人生や社会づくりへの首都圏の拠点として、法話・講座・イベントなどを開いています。

築地本願寺は元々京都の西本願寺の別院として浅草周辺に建立されたのですが、1657年の大火事(明暦の大火)で焼失します。

その後再建を目指して江戸幕府に掛け合い与えられたのがこの土地でした。

しかし当時この場所は海。そこで、海を埋め立てて土き本堂を建てることにしました。それが現在の築地本願寺です。築地●●という地名はここからきているそうです。

それにしてもこの本堂、外観がインパクトありますねー!一般的な日本建築とは全然違います。

造りは鉄筋コンクリートで、インドの古代仏教建築を取り入れているそうです。本堂入り口にはステンドグラス、そして動物たちの石の彫刻が安置されています。

本堂の中もエキゾチックな雰囲気が漂います
ご本尊の阿弥陀如来像

さらに本堂内にはこんなものまで!

パイプオルガンに中央のステンドグラス、まるでキリスト教の教会のようです

なんと1970年に寄贈されたというドイツ製のパイプオルガンです!

今回特別に演奏してくれることになりました。まさかお寺でパイプオルガンの演奏を聴くことができるとは思いませんでした。

恩徳讃おんどくさんという曲を演奏してもらいました。親鸞聖人の教えを音楽にしたものです

本堂に優しく響き渡るパイプオルガンの音色、とても厳かなんだけど華やかさも感じます。築地本願寺では毎月最終金曜日には無料コンサートが開催されています。

ちなみに築地本願寺にはカフェも併設されていているのですが、ここでいただける朝食が大人気!

18品の朝ごはんというメニュー名の通り小皿に盛られた料理18品が提供されます。

カフェTsumugiの18品の朝ごはん

この朝ごはんの提供は午前8時から10時半、数に限りがあるので予約するのがおすすめです。

築地本願寺を後にして再び歩きます。寒中禊の受付時間は午前10時なのでそれに間に合わせなければなりません。

早歩きで東京の町中を進みます

国会議事堂から歩いて約5キロ。遠くから笛と太鼓の音が聞こえてきました。いよいよ今回の修行場、鐵砲洲てっぽうず稲荷神社です!

太鼓と笛の音色が周辺に響いています

鐵砲洲稲荷神社

鐵砲洲稲荷神社
鐵砲洲稲荷神社のホームページ

鐵砲洲てっぽうず稲荷神社は平安時代の841年に生成太神いなりのおおかみをお祀りしたのが始まりです。また鐵砲洲という名の由来はかつて幕府が鉄砲の試射を行っていた場所だからだそうです。

そして境内に入ってまず目に飛び込んできたのがこれです!

この中に入って身を清めます

境内の中央には水がはられていて、その中に巨大な氷柱が二本入れられています。水温は7度、寒中禊とはこの水の中に入り身を清めるというものです。

この寒中禊は昭和30年から行われています。身を削ぐようなぎょうを行うことで、自身や他者の安寧を祈願するものなんだそう。寒さに耐えなければいけない厳しい修行ですが、毎年約100人が参加します。

私とくっすんも準備完了!境内には大勢の人が集まってきました。男性は鉢巻きにふんどし、女性は鉢巻きに白衣です。それにしてもめちゃくちゃ寒い!!

鉢巻きとふんどし姿で臨みます
寒中禊参加者、観客、報道陣で境内が埋め尽くされました

午前10時30分、いよいよ始まります!

まずは体を温めるため神社の周りを全員で走ります。太鼓と笛の音が響きそのリズムに合わせて「エイ!ホー!エイ!ホー!」の掛け声をあげ順番に神社から出ていきます。

神社の周辺を全員で走ります
風がめちゃくちゃ冷たいです

約200メートル走って境内に帰ってきました。気温が低すぎてこれだけでは全然体が温まりません~。境内に戻ってきて今度は様々な行事が執り行われます。

掛け声とともに船をこぐ所作で邪気を祓う鳥船行事。

船の櫓を漕ぐ動きを繰り返します

神に叫んで決意を示す雄健おたけび行事。

生魂(イクタマ)・足魂(タルタマ)・玉溜魂(タマタマルタマ)と叫びます

深呼吸で体と心を整える氣吹いぶき行事。

これだけ体を動かし大きな声を出すと、やっと少しずつ体が温まってきました。

さあ、いよいよ本番です!人数が多いため二組に分かれて交代で水に入ります。

いよいよ私とくっすんも水の中へ!手のひらを合わせて組んで上下に振り、「祓戸大神はらえどのおおかみ」を唱え続けながら水に入ります。

「祓戸大神(はらえどのおおかみ)」と繰り返し唱え続けます
一気に胸元まで浸かります

めちゃくちゃ冷たい!
想像以上に冷たい!

冷たすぎてびっくりしました!全身が凍りつくようです!水に浸かる時間は約30秒、しかしこの30秒が長く感じるんです。

水に入る人たちは「祓戸大神」、周囲の人たちは「エイ!ホー!」の掛け声です

30秒経ったら交代でこれを数回繰り返します。外で待っている時間も寒くてかなり厳しい!!

二回目…、

三回目…、

もう寒い冷たいを通り越して体が痛い!!そしてくっすんの顔色がかなり悪くなってきました。大丈夫か!?

そして最後の四回目!

河田
河田

祓戸大神!祓戸大神!祓戸大神!

くっすん
くっすん

うおおぉぉ~!!!夏になれーーーー!!!!

最後は寒すぎてくっすんがおかしなことを言いだしました!

これで今回の寒中禊は終了ー!いや~なんとか耐えることができましたがかなり厳しかったです~

ちなみに今回多くのメディアが撮影や取材をしていて、読売新聞オンラインのYouTube動画に私とくっすんの姿がしっかり映っていました!

大変厳しい寒中禊。正直いうと自分一人では最後までがんばれなかったかもしれません。

最後までやりきれたのは、周りに自分と同じようにがんばっている人たちがいたからなんだと思います。そう感じているのはきっと私だけではないはずです。

この寒中禊に毎年参加しているという人も大勢いました。自ら厳しい環境に追い込んでそれを乗り越えることによって得られるものがあり、良い一年になると皆さん口をそろえてそう話します。

私とくっすんにとって、そして皆さんにとっても良い一年になりますように!

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