古都奈良を歩く今回の旅。
大和郡山から興福寺の南円堂に向かいます。
松尾寺
スタート地点は早朝の松尾寺です。
この日は10月17日、
朝はずいぶん気温が低くなってきました。
松尾寺は718年に舎人親王が
自身の厄除けを祈願し建立した
日本最古の厄除け霊場です。
境内の四つの角のある
釣り鐘、お堂、本堂、霊石を
懺悔の言葉を述べながら108周まわります。
声に出すことによってそれが観音様に届き
厄がはらわれるそうです。
しかし108周は大変ですね。
松尾寺を後にし
奈良市の方角を目指して歩き出します。
細い坂道を上ると
趣のある山門が見えてきました。
1663年に江戸時代の茶人、片桐石州が
父親の菩提寺として建立した慈光院です。
慈光院
石州は徳川家綱や水戸光圀に茶の湯を教え
当時「茶は石州」「剣は柳生」とまで
讃えられた大茶人です。
お寺の境内に入ろうとすると
くっすんが屋根を指さし、
か…、か…、か…、
かや…、かや…
ん~、かやぶき屋根!!!
おー、ついに覚えたのね!
「茅葺き屋根」のことを「あらびき屋根」と
頭にインプットしてしまい、
それ以来なかなか覚えられなかったくっすんが
ついに覚えました。
その後
お庭を眺めながら
お茶をいただきました。
この庭園は
大和三名庭(慈光院、群芳園、當麻寺)の
一つに数えられています。
歩き始めて3時間、
大和郡山ならではの風景が見えてきました。
大和郡山といえば金魚の養殖が盛んです。
1724年、当時の藩主柳澤吉里が
藩士の副業として
金魚の養殖を奨励したのが始まりです。
現在も養殖が行われ
年間約5800万匹を出荷しています。
金魚を養殖しているため池を
眺めながら歩いていると
用水路に金魚の大群が!!
せっかくなので捕まえてみよう!と
はりきって用水路に入るおっさん二人。
思いっきり童心に返ってます。
捕まえた金魚を逃がしてやり
再び歩き始めます。
スタート地点から約10キロ、
大きくて立派な山門が見えてきました。
唐招提寺です。
唐招提寺
鑑真和上が来日した5年後の759年に建立され
1998年に世界遺産に登録されました。
この立派な金堂は
一緒に来日していた鑑真の弟子が
ギリシャのパルテノン神殿の設計図を元に
建てたと考えられています。
そしてその金堂に祀られている千手観音、
全部で953本の手があります。
鑑真が日本に来られた時に
小さな千手観音を持っていたことから
弟子たちがこの千手観音を
作ることにしたのだそうです。
また、唐招提寺には
日本で亡くなった鑑真のお墓があります。
南円堂まであと5キロ。
ここで松本ディレクターが…
ディレクター
南円堂の特別拝観が午後5寺までなので、このペースでは絶対間に合わないわー。どうする?
「どうする?」って?
走る?
えーーー、無理~~
南円堂の特別開扉は年に一度だけで
毎年10月17日と決められています。
この機会を逃すとまた一年後…。
時間を忘れ金魚すくいに興じたことを
心から悔やみつつ
国道沿いを走り始めました。
なんとか5時前に興福寺に到着~
走り疲れたくっすんは
入り口の前で倒れ込んでしまいました。
南円堂
興福寺の南円堂は
813年に藤原冬嗣が
父親の冥福を願って建立した
日本で最大の八角円堂です。
興福寺には数多くの歴史ある建造物があり
その中でこの再建されたこの南円堂は
最も新しいものということになります。
そしてこの南円堂の完成で
興福寺は整ったと言われています。
お寺の中の一つのお堂が札所というのは
とても珍しいですよね。
安置されているのは
国宝の不空羂索観音菩薩座像
(ふくうけんさくかんのんぼさつ)。
手に持つ羂索(けんさく)という網で
人々の願いをすくい取るそうです。
年に一度の特別開扉。
道中走ってしんどい思いはしましたが
その甲斐あって貴重な経験を
させてもらうことができました。
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