【ネパール|カトマンズ・エベレスト街道】60日間ほぼ世界一周

今回はスペインから大移動です。約8200キロ離れたネパールへ!標高が高い地域を長距離歩くので苦労しそうです。

ネパール
首都  カトマンズ
人口  約2900万人
公用語 ネパール語
通貨  ネパール・ルピー

カトマンズ

人口約144万人の首都ネパール

首都のカトマンズは雑然としていてるんだけど活気に満ちあふれています。ここまで訪れてきた南米、アフリカ、ヨーロッパの国々と全然違う空気が流れているように感じました。

大勢の人たちが忙しなく動き交通量も多く、辺りで大きな声やクラクションの音が鳴りやみません。とにかく賑やかです。

人力三輪車のリキシャで移動します

せっかくなので本場のネパール料理をいただくことにしました。ちょうど店先で何やら調理しているのでのぞいてみると…

大きな鍋で調理しています
どう見ても餃子!

日本でもよく見るこのフォルム!これ餃子じゃないんですか!?店主に聞くとこれはモモというネパール料理なんだそうです。「1皿くださーい!」

10個40ルピー(約70円)

日本の餃子と違うのは、皮がかなり分厚くて、具は水牛のモモ肉を使っていること。さらにスパイスがかなりきいています。これはうまい!

続いてレストランでいただいたのが今まで見たことがないこちらのネパール料理です。

今まで見たことがない料理です
ソーセージのような形をしていますが…

なんと、水牛の脊髄!
脊髄と聞いてびっくりしたのですが、恐る恐る食べてみると、これがとても美味しかったんですよ~!こちらもスパイスで味付けしていて噛むと中はとろとろ、白子のような食感でした。

予想以上に美味しくてびっくり

ネパール料理で腹ごしらえができたところでいよいよ本題です。

今回の目的地はエベレスト山頂が見える場所、標高3880メートルのシャンボチェという町です。まずはカトマンズから飛行機で30分、標高2800メートルルクラに向かいます。

小型プロペラ機で移動します

この小型プロペラ機ですが、座席数が少ないしせまいし日本では乗ったことがないような飛行機です。プロペラが回転しだすと振動が座席にめちゃくちゃ響きます。しかも操縦席のドアがなくて丸見え!大丈夫なんかこの飛行機!?そんな気持ちのままテイクオフ。

飛行中の操縦席を見るの初めてです

なんだかこの飛行機がとても頼りなく思えて離陸してからずーっと不安だったのですが、数十分すると機体が徐々に傾き着陸態勢に。「もう着陸か、あ~良かった」と安堵していると操縦席の窓から空港が見えてきました。

あれ滑走路短くない!?

操縦席から見た滑走路

実はルクラの空港は世界一危険な空港と呼ばれているんです。なぜかというと滑走路の全長が527メートルしかありません。これめちゃくちゃ短いんですよ!

関西の空港の滑走路の長さは以下の通りです。ルクラの空港の滑走路がいかに短いかわかります。

関西国際空港 第1滑走路 3500m
       第2滑走路 4000m
伊丹空港   第1滑走路 1828m
       第2滑走路 3000m
神戸空港         2500m

しかも滑走路が超短いだけでなく両端は崖と絶壁!過去に何度か死亡事故が起きています。着陸の瞬間は緊張しました~。

ちなみに空港名はテンジン・ヒラリー空港です。これはエベレスト初登頂に成功したニュージーランド人の登山家エドモンド・ヒラリーと、ネパール人(シェルパ族)のテンジン・ノルゲイの名前からきています。

ルクラ

テンジン・ヒラリー空港(標高2800メートル)
空港のゲート(?)で登山客や地元の人たちがチェックを受けています

空港は大勢の人で賑わっていました。観光でやってきた登山者や物資を運ぶ人たちです。物資を運ぶ人は帯のようなもので荷物をしばり、自分のおでこに掛けて歩きます。

大きな荷物を運ぶシェルパの皆さん

この辺りの道は幅がせまく当然舗装もされていません。ですから移動は基本的に徒歩ですし、物資などは人かヤクが運びます。ヤクは牛の仲間で高地に生息している動物です。

さあ、ここから歩いて目指すのはエベレストの山頂が見える場所シャンボチェです!シャンボチェホテルエベレストビューというホテルがあるのですが、そのテラスからエベレストの山頂を見に行きます。

距離は約15キロですが、ルクラが標高2840メートルで、シャンボチェが標高3880メートル。高低差でいうと約1000メートル登ることになります。二泊三日でゴールを目指しますのですがこれはかなりきつそうです。

今回歩く道はエベレスト街道、険しい山道を登るのに地元のシェルパ族の方々に協力してもらいます。シェルパの皆さんは登山者のガイドやサポートをして生計を立てている方が多いそうです。

今回はシェルパ族の方3人とヤク2頭に荷物を運んでもらうことにしました。

「皆さん、よろしくお願いします!」
そして私たちの荷物を運んでくれるヤク2頭

登山初日は標高2610メートルの町パグディンを目指します!

道は岩や石が転がっていてとても歩きにくいのですが、シェルパの皆さんとヤクの歩くスピードが速くて驚きました。早歩きでついていくのがやっとです。

エベレスト街道を歩いていると現地の人たちとすれ違うのですが、やはり皆さん大きな荷物を背負ってすごいスピードで歩いていきます。できるだけ早く物資を届けなければならないからです。

荷物を運ぶ仕事を生業にしている人が多いのです
この男性はこの大きな荷物を二日かけて運ぶそうです

私はというととにかく息が切れて苦しい…。

この旅では何度か高地を訪れました。ペルーのチチカカ湖(3800メートル)、クスコ(3400メートル)、マチュピチュ遺跡(2400メートル)ではやはり息苦しさを感じたのですが、今回は山道を登るのでさらにハードです。

ルクラから歩き始めて約1時間、最悪の展開です。ここにきて雨が降ってきました…。足場は悪くて歩きにくいし、濡れて寒いし、高地で呼吸が苦しいし…まだ序盤ですが、すでにしんどいです。

冷たい雨が降り始めました

そして所々で渓谷を越えなければならないのですが、そこは吊り橋が架けられていてこれを渡ります。人間はともかく体が大きなヤクは大丈夫!?恐る恐る吊り橋を渡ります。

エベレスト街道では数か所このような吊り橋があります
ヤクが歩くと吊り橋が揺れます

雨が降り続ける中歩き、だんだんと辺りが暗くなってきました。もちろん辺りに街灯はありませんから真っ暗です。

すると遠くに灯りが見えてきました!今夜宿泊する標高2610メートルのパグディンという集落です。いや~やっと着きました、体力的にはかなりきつかったです。

パグディン

真っ暗な中ようやくパグディンに到着
もう疲労困憊です

パグディンのロッジで一泊し迎えた二日目の朝、幸い雨はやんでいました。雨が降っていないだけでもありがたい!昨日の疲れは残っていますが気力でエベレスト街道を再び歩き始めます。目指すは10キロ先のナムチェバザールという町です。

エベレスト街道登山、二日目スタートです

歩き始めて数時間、標高は約3000メートルを越えました。エベレスト街道を歩くネパールの人たちはこの日も早足で歩きとても元気です。そして様々な出会いがありました。

荷物を運ぶヤクたちと頻繁にすれ違います
荷物を運ぶ仕事の合間に休憩して談笑する青年たち
地元の子供たちとも出会いました

パグディンを出て歩くこと約7時間、雲の中に町が姿を現しました。山の斜面にこんな町があるなんて、とても不思議な光景です。ここがナムチェバザールです!

ナムチェバザール

やっとの思いでナムチェバザールに到着

ナムチェバザール世界遺産に認定されているサガルマータ国立公園の中にある町で「シェルパの里」とも呼ばれています。登山家たちの拠点となる町です。

人口約1600人の町ナムチェバザール(画像 Sebastian Pena Lambarri
(画像 Kalle Kortelainen)

思っていたより町の規模が大きく、人も多くて本当に驚きました。宿泊施設はもちろん、売店やレストランもたくさんありましたよ。

ナムチェバザールのロッジで一泊し迎えた三日目の朝は快晴!!いよいよエベレスト山頂が見える場所まで行きます。

エベレストは雲が出ていると見ることができないのですが、この天気なら問題さそうです。

三日目は最高の天気に恵まれました

空気は冷たいのですが日差しは強く感じます。目の前の雲の隙間から標高7000メートルクラスの山々が。まるで別世界に来たようです。

この風景に見とれながら歩いていると、遠くから大きなエンジン音が!

頭上に小型飛行機が!
あっという間に飛んで行ってしまいました
「めちゃくちゃ近かったなあ~」

手を伸ばせば届きそうなところを小型飛行機が飛んでいきました!実はこの近くにシャンボチェ空港があります。きっとそこから飛び立ったんでしょうねー。

でも、空港を見てみると全然整備されていなくて普通の広場って感じでした。

シャンボチェ空港
目の前に雲に覆われた山々が見えます

山の尾根を歩き続け、いよいよゴールのホテル・エベレスト・ビューが見えてきました!

ホテル・エベレスト・ビュー

最もエベレストに近いホテルです

ホテル・エベレスト・ビューは日本人の宮原たかしさんという方が「もっと多くの人にこの景色を見てほしい、そしてネパールが観光で豊かになってほしい」という思いから建てられました。創業は1971年です。現在もフロントで日本語対応してもらえます。

窓の向こうがテラスです

さあ、エベレストは眺められるのか!?ここまで来るのにめちゃくちゃ苦労しました。エベレストを見るためにがんばってきたんです。お願いします、どうかエベレストの姿を見せてください!祈るような気持ちでテラスに出ると……

正面にエベレストがそびえたっているそうです

全然見えない。

目をこすっても、目を細めても全然見えません。かなり分厚い雲に覆われています。そんなに甘くはないんですねぇ。

こうなったら雲が流れてエベレストが姿を現すまで帰れません!しばらくテラスで待たせてもらうことにしました。

雲は動いているように見えるのですが、エベレストの姿は全く見えません

1時間が経ち、2時間が経ち…辺りが薄暗くなっても全く見えてきません。どうしよう。

いろいろ悩んで考えて相談して、結局もう一泊することにしました。この後の旅のスケジュールもあるので、もし明朝見えなかったらあきらめることにします。

そしてホテルエベレストビューで迎えた翌朝。テラスに出ると目の前にはこんな景色が広がっていました。

ついにエベレストの山頂が見えました!

世界最高峰エベレストの山頂がはっきりと見えます!1953年5月29日にニュージーランドのエドモンド・ヒラリーとシェルパ族のテンジン・ノルゲイが、世界で初めて登頂に成功して以来、多くの登山家が目指した頂です。

この地球上で最も高い場所を眺めていると思うと不思議な気分で、ここまでの疲れを忘れてしまいます。

昨日の天気がウソのようにすっきりと晴れ渡りました

エベレスト標高8848.86メートルですが、実は以前より高くなっているのをご存じでしょうか。

とても不思議な話ですが、理由はまず大陸プレートの動きにより長い年月をかけてエベレストの高さが変化しているから。そして地震による影響もあるそうです。

さらにもう一つの理由は、エベレストネパール中国にまたがっているため、両国の測定方法と結果が違っていたからです。

両国間で議論になっていたそうですが、共同で調査をして公式に8848.86メートルと発表されました。

過酷な行程を一緒に歩いたメンバーと

日本を出発して約1か月半。ここまでの旅で体力的にも精神的にも一番厳しかったですが、最後まであきらめなくて本当に良かったです。

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