【剣禅|芳徳寺】日本修行場めぐり(奈良県柳生町)

日本修行場めぐり

今回はあの柳生の里で剣で心を鍛える剣禅を体験させてもらいます。私もくっすんも剣道は初体験。ちゃんとできるのでしょうか?

JR笠置駅

JR笠置駅

京都府笠置町のJR笠置駅からスタート、小雨が降る中歩き始めます。

京都府から奈良市に入ります

約10分南西へ歩くと木々が生い茂る中に水色の建物を発見。実はここちょっと珍しい博物館なんです。

こうもり博物館

こうもり博物館(予約制)

博物館に入って二人ともびっくり!ケースの中にたくさんのコウモリが!

思わず声をあげてしまいました
コウモリの標本

こうもり博物館は、コウモリの標本や写真、世界各国のコウモリグッズ、生態の解説などを展示してその魅力を伝えています。

ちょっと怖いイメージがあるコウモリですが、日本には約34種類が生息し虫などを食べます。

吸血コウモリと呼ばれるチスイコウモリは中南米にだけ生息しているそうです。

そしてコウモリは哺乳類で唯一空を飛ぶことができる動物だということをご存知でしょうか?

ムササビやモモンガも飛ぶと思われるかもしれませんが、正確に言うとあれは滑空で飛行ではないのです。

そしてもう一つの特徴は視覚がほとんど発達しておらず(中には目が見えている種類のコウモリもいるそうですが)、超音波を発してその反響を頼りに行動するということ。

不思議なコウモリの生態に関してはまだわからないことが多いのだそうです。

コウモリがデザインされた物の展示も多数あります

ちなみに、中国語で蝙蝠こうもりと偏福(福が来る)の発音が似ているため縁起の良い動物とされています。

中国の縁起物には黄色いコウモリが

そして日本でも縁起物としてコウモリのデザインが使われていました。

着物にコウモリの柄が入っています(国立国会図書館所)

ここに来ると今までのコウモリのイメージがちょっと変わるかもしれませんね。

こうもり博物館を出るとさらに雨が強く振っていました。傘をさして歩くこと約3分。続いてお邪魔するのはこちらの会社です。

有限会社フジタカヌー

有限会社フジタカヌー
FUJITA CANOE – 広がる新しい冒険。ようこそフジタカヌーへ。

カヌーの製造販売をするフジタカヌー。昭和51年に先代の社長が木津川の流れに惚れ込みその流域に会社を設立したのが始まりです。

カヌーとはパドルを使って漕ぐ小舟の総称です。

パドルの両端にブレードが付いていてデッキが包まれたような構造がカヤック、パドルの片方だけにブレードが付いていてデッキが開かれた構造がカナディアンカヌーです。

(左)カナディアンカヌー (右)カヤック

フジタカヌーの最新カヤックを見せてくださいとお願いすると、こんなバッグが出てきました。

これがフジタカヌーのカヤックだというのですが…

バッグを開けると様々なパーツが中に入っていて、社長が手際よく組み立てていきます。

バッグの中から金属製のパイプを取り出します
そのパイプを組み立てます
組み立てたパイプを本体の中に入れて、本体に空気を入れて完成

工具なしでパーツとパーツをはめるだけ、最後に空気を入れて約12分で完成!これなら初心者にもできるし持ち運びがとても楽ですね。

くっすん「座椅子に座っているように楽です」

関西は川や海が多くカヌーを楽しめる環境が整っているので、興味がある方はチャレンジしてほしいと社長が嬉しそうに話してくれました。

フジタカヌーを出ると今度は山登りです。

標高288メートルの笠置山。奈良時代には僧侶たちが山岳修行を行ったそうです。山頂まで急な上り坂が続きます。

笠置山を登ります

道は整備されていますがかなり急な斜面で登るのは大変です。

雨降る中坂道を上るのは大変です

笠置山を登ること約1時間、やっとお寺に到着ー!。霧に包まれていて幻想的です。

笠置寺

笠置寺に到着
笠置寺 巨石と雲海の山

笠置寺は飛鳥時代に創建された真言宗のお寺。こちらにはかなり珍しいご本尊が祀られているというのでご住職に案内してもらいました。

ご本尊の大きさに驚きました

そのご本尊を見てびっくり!笠置寺のご本尊は巨大な弥勒摩崖仏です!高さは16メートル、幅は15メートルあります。

弥勒摩崖仏の輪郭が巨岩に刻まれています
遠く離れた場所からも見られます(笠置寺所蔵)

この摩崖仏は飛鳥時代に大友皇子の発願により天人によって彫られたと伝わっているそうです。

笠置寺所蔵

しかし、1331年後醍醐天皇が笠置山に立てこもり鎌倉幕府軍と戦った時に、摩崖仏は焼かれてしまい今はその輪郭だけが残っています。

ご住職の許可があれば摩崖仏の上にのぼることができるのでくっすんが行かせてもらいました。

摩崖仏の上にくっすんがいるのですがわかりますか?

お寺のご本尊の頭の上に立たせてもらうというのは貴重な体験。くっすんはご本尊の上で手を合わせしっかりお参りさせてもらいました。

笠置山を下りさらに歩くと大きな看板を発見、いよいよ柳生の里です。

江戸時代の剣豪柳生十兵衛をはじめとする柳生一族の故郷、のどかな景色が広がります。

柳生の里

「剣聖の里 柳生」という看板が見えてきました

目の前に葉がない大きな杉の木がそびえたっています。これは十兵衛杉と呼ばれていて、柳生十兵衛がこの里を出る時に植えたとされています。

落雷により枯れてしまっていますが存在感があります
十兵衛杉

柳生十兵衛は生涯でなんと13500人の弟子を育てたといわれ、柳生新陰流を世に広めました。

スタート地点から歩いて約8キロ、お昼ごはんは十兵衛食堂でいただきます。趣のある外観ですね。

十兵衛食堂の名物十兵衛うどんをいただきます。

二つのしいたけがトッピングされているのですが、これは柳生家の家紋、二蓋笠にかいがさを表現しています。しいたけのうま味が出汁に出ていて美味!

十兵衛うどん(600円)、とろろ飯(550円)
十兵衛うどんに大満足です

十兵衛食堂を出ると日が差してきました。ここから約2キロ歩き、石段と坂道を上って剣禅を体験させてもらう芳徳寺ほうとくじに到着です。

芳徳寺

芳徳寺

芳徳寺は1638年に十兵衛の父、柳生宗矩むねのりの時代に創建されました。

宗矩は親交が深かった臨済宗の僧侶沢庵和尚にこの芳徳寺を建立してもらい柳生家の菩提寺とします。

(左)柳生宗矩、(右)沢庵和尚

また宗矩沢庵和尚から無我の境地に至る禅の教えを受け、剣禅一致の柳生新陰流を完成させたのです。

その後宗矩は徳川二代将軍秀忠公、三代将軍家光公の兵法師範となりました。

柳生新陰流兵法

いよいよ私とくっすんも剣禅の修行です。

今回は柳生新陰流二蓋笠会の畑峯さんと池之側さんに指導していただきます。

池之側さん、畑峯さん、ご住職

剣禅とは恐怖を克服し無心で剣を振るう自分に打ち勝つための修行です。

今回教えてもらうのは柳生新陰流の基礎の型、輪之太刀。相手の打ち込みを剣で払い打ち返す攻防一体の技です。

まず相手に打ち込んで、

今度は竹刀を上斜めに構えて相手の攻撃を受け流し、

そこから竹刀で輪を描くようにして相手に打ち込む、

これを互いに流れるように繰り返すのが輪之太刀の打ち込み稽古です。

畑峯さんと池之側さんにしっかり指導してもらいました

攻撃、防御を繰り返す輪之太刀。先生にしっかり稽古をつけてもらい少し慣れてきました。

今度は私とくっすん二人で輪之太刀の打ち込み稽古をやってみます。二人が息を合わせなければなりません。

輪之太刀の打ち込み稽古をふたりでやってみます

まずは私河田が攻撃、くっすんが防御です。

河田
河田

ではいきます!

くっすん
くっすん

いつでもどうぞ!

パシーーーン!!

くっすん
くっすん

ぎゃー!痛~い!

私の竹刀がくっすんの面をとらえました!道場内に竹刀の乾いたいい音が響きます。

私の攻撃を受け流すことができなかったくっすん
くっすん
くっすん

痛いじゃないですか~!

河田
河田

大丈夫?教わった通りちゃんと受け流してよー

気を取り直して再度挑戦!

パシーーーン!!

くっすん
くっすん

ぎゃー!

また受け流しに失敗したくっすん

最初は全然かみ合わずこんな感じでしたが、繰り返していくと徐々に慣れてきましたよ。

繰り返し練習すると少し慣れてきました

輪之太刀を教えてもらって実践してみると、一方的に打ち込むだけではなく相手を気遣いながら竹刀を振ることが大切だと感じました。

「ありがとうございました!」

柳生新陰流には相手の攻撃を制し傷つけずに争いを止めるという考え方があるそうです。

人が傷つくのは刀のせいではなく人の心だとご住職に教えてもらいました。刀を持たない現代人も大切にしたい考え方だと思います。

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