【座禅|萬福寺】日本修行場めぐり(京都府宇治市)

日本修行場めぐり

修行といえば座禅を連想する方も多いのではないでしょうか?

今回は京都市東山区から宇治市にかけて約12キロ歩き、萬福寺でその座禅をさせてもらいます。

ちなみに萬福寺は以前西国三十三所巡礼編正法寺(岩間寺)に行った時に道中で訪れています。

木魚の原型がありそのお話はとても興味深かったです。

即宗院

即宗院 Official Website
臨済宗東福寺派、大本山東福寺塔 即宗院。嘉慶元年(1387)九州薩摩藩島津氏久公が、剛中玄柔禅師(東福寺第54世住持)を開山として建立。薩摩藩の菩提寺 で氏久公の法名「齢岳玄久即宗院」から寺名とした。

スタート地点の即宗院東福寺塔頭たっちゅうです。

塔頭たっちゅうとは大きなお寺の境内にある小寺院のことです。脇寺とも言います。

即宗院の本堂

この即宗院には大変貴重な掛け軸があり、普段は非公開ですが特別に見せていただけることになりました!

その掛け軸がこちらです。

とても立派な掛け軸です

明治維新の立役者の一人、あの西郷隆盛が書いた詩です。

西郷隆盛(1828~1877)国立国会図書館所蔵

この掛け軸にはこんな物語があります。

1868年明治時代が幕を開けます。西郷隆盛は新政府の要職に就きますが意見が対立し1873年に辞職、故郷の鹿児島に帰ってしまいます。

帰郷すると生活は経済的に苦しい隆盛。それを気遣って勝海舟がとった行動は、隆盛に詩を書かせてそれを買い取るというものでした。

隆盛は資金援助を提案しても受け付けないだろうと思い、海舟はこのような方法でサポートしたのです。

勝海舟(1823~1899)国立国会図書館所蔵

西郷隆盛勝海舟、二人は元々新政府軍と旧幕府軍で対立していた関係です。

しかし江戸城無血開城にむけての会談などを通じ友情が芽生えたのでしょうか。海舟の素晴らしい気遣いですね。

即宗院を出て南の方角へ約2キロ歩いてきました。

人通りが増えて辺りが賑やかになってきましたよ。大勢の観光客が訪れる伏見稲荷大社です。

伏見稲荷大社

大勢の参拝客で賑わう伏見稲荷大社
伏見稲荷大社
1300年にわたって、人々の信仰を集め続ける「お稲荷さん」の総本宮 伏見稲荷大社の公式ホームページ

ここ伏見稲荷の参道には多くの商店が軒を連ねていますが、その中に昔から食されているちょっと珍しい名物があります。

稲福(創業1923年)

それはなんと、すずめの丸焼き

稲荷大社名物すずめの丸焼き

伏見稲荷大社は五穀豊穣の神様を祀っています。

その五穀を食べ尽くすすずめを懲らしめるためにすずめを食べる風習が生まれたそうです。

1923年に創業の稲福さんでも昔からこのすずめの丸焼きを提供しています。

許可をいただき特別に店先でいただきます
炭火で焼かれるすずめは食欲をそそる香りがします

食べてみるとレバーのような濃厚な味わいで、骨は噛むとパリパリと音がしとても良い食感です。

最初はすずめと聞いて驚きましたが、食べると美味しかったです。ごちそうさまでした!

伏見稲荷からさらに南へ。伏見桃山駅を通り過ぎるとのどかな景色が広がります。

すると覆いがかぶさった畑を発見しました。

覆いがかぶされた茶畑

京都宇治茶房山本甚次郎農園

宇治といえば宇治茶が有名ですよね。

ここではその宇治茶を生産しているのですが、昔ながらの栽培方法にこだわっているそうです。

茶畑の上によしずと藁を被せて直射日光を防ぎ、その中で新芽を育てる栽培方法を本簀被覆ほんずひふくといいます。

昔ながらの手法でよしずと藁が使用されています
よしずと藁の隙間からわずかに光が差し込みます

元々は室町時代に霜を防ぐ目的でよしずと藁を使い茶畑を覆ったのですが、そうすると不思議とお茶が美味しくなるということに昔の人たちが気付いたそうです。

多くの茶畑で使用される化学繊維の幕

一般的には扱いが簡単なので黒い化学繊維の幕を使うのですが、近代の研究では化学繊維の幕よりよしずと藁を使った方がうまみ成分等が増えるということがわかったのです。不思議ですね。

ちなみにこちらでは覆いをする栽培と覆いをしない栽培の両方があり、それによりお茶の種類が変わります。

覆下園(覆いをする)
抹茶、玉露、てん茶など

露天園(覆いをしない)
煎茶、番茶、ほうじ茶など

この茶畑で宇治茶を栽培している山本さんに水出し抹茶をいただきました。

水出しのアイス抹茶をいただきます
河田
河田

抹茶のうまみと甘みが口に広がります、味が濃くて美味しい!

くっすん
くっすん

抹茶って苦いイメージでしたが、これはまろやかで本当に美味しいです。

山本さん
山本さん

水出しにすると甘みが増すんですよ。

山本さんが本簀被覆ほんずひふく栽培でつくったお茶は京都宇治茶房・山本甚次郎で購入することができます。

京都宇治茶房 山本甚次郎(やまもとじんじろう)
ほんず抹茶・碾茶生産農家

山本さんとお別れして京都市から宇治市に入り修行場の萬福寺に到着です。

萬福寺

黄檗宗大本山萬福寺 ‐京都府宇治市
黄檗宗大本山「萬福寺」の公式サイトです。京都府宇治市にある日本三禅宗の一つ黄檗宗の大本山の寺院「萬福寺」。日本では他に例が無い中国明朝様式を取り入れた禅宗伽藍建築と数々の文化財。萬福寺で体験できる禅体験や普茶料理についてもご案内しております。

今回体験させてもらう座禅は自分自身の心を見つめ直し己の中にある仏の心に気づくという修行です。

二人とも体が硬くて足を組んで座るのも一苦労です

座禅の途中で心が乱れると警策棒で肩を打たれます。

座禅の心得を教えてもらいます

これば罰ではなく気持ちを入れ直し改めてがんばってもらおうという意味で打つのだそうです。

萬福寺での座禅体験は5分を2回行います。

では、気持ちを落ち着けて座禅開始です。

辺りが静まりかえりゆっくりと時間が流れているように感じます。

緩やかに呼吸をし心を落ち着けます。

くっすん
くっすん

へーーっくしゅん!!

げほっ、げほっ…

座禅中に大きなくしゃみをするくっすん

びっくりしたっ!

座禅中のくしゃみ、せき、おならなど自然に発生する生理現象は我慢しなくてもいい、要するに「出てくる物は出していい」ということを教えてもらっていたのでくっすんは遠慮なくくしゃみをしたみたいです。

しかし、その後もどうも落ち着かない様子のくっすん。

ここでついに…

バシーンッ!
バシーンッ!
バシーンッ!
バシーンッ!

「うぅぅぅ…」とうめき声をもらしながら合掌するくっすん

警策棒がくっすんの肩を叩く音が、堂内に響き渡ります。かなり強く叩かれましたよ!

すると…

くっすん
くっすん

うぐぅぅぅ…、うぅ~…

くっすん
くっすん

ぉおぅぅぅ…ぐぅぅ…

河田
河田

………。

今度はくっすんの奇妙なうめき声が堂内に広がります。

嗚咽するくっすんと、その声が耳に入り集中できていない私河田
涙と鼻水を垂れ流すくっすん

涙もくしゃみやせきなどと同じ生理現象の扱いになるのでしょうか。全部たれ流しています。

そしてここで座禅終了です。

「ありがとうございました」
くっすん
くっすん

警策棒で叩かれた時は、びっくりして痛くて泣いてしまいました。

河田
河田

うん、遠慮なく泣いて、変な声がもれていたね。

くっすん
くっすん

通常なら「おっさんなのに泣いたりして情けない」と言われてしまいますが、ここでは「我慢しなくていい、出てくる物は出していい」と言われましたので気が楽になったんです。なんだか泣いてすっきりしました。

河田
河田

普段我慢していることから解放されたということなのかなぁ。

くっすん
くっすん

なんだかデトックスした気分です!

萬福寺のご朱印

静かに心を落ち着けて座り自分の気持ちと向き合う座禅

よく考えると日常生活でこんなに落ち着いて座り続けることはありません。

とても穏やかな気持ちにさせてくれる貴重な時間でした。

コメント

  1. たけし より:

    この回はみてれいませんでしたがこれぞくっすんというエピソードで声出して笑ってしまいました😁
    毎回ブログ楽しみにしています!

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