キリスト教には世界三大巡礼地がありまして、それはエルサレム、バチカン、そしてスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラです。
今回は世界遺産になっているサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路を歩くため、トマト祭りが開催された東部の町ブニョールから北西部のガリシア州のアルスーアという町にやってきました。
ここから巡礼路を約37キロ歩いてサンティアゴ大聖堂を目指します!
実はサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路はいくつかあって、最もメジャーなのがフランスのサン・ジャン・ピエド・ポーを起点とするルートで距離は約730キロあります。
ちなみにこのブログでご紹介した日本の巡礼路、西国三十三所は一番札所から順番に歩くと約1000キロあるそうです。
巡礼路を歩き始める前にまずは準備。教会で巡礼手帳(クレデンシャル)を購入します。
この巡礼手帳があると道中の公共宿泊施設に泊まることができ、各ポイントでスタンプを押してもらうことができます。御朱印のような感じでしょうか。
そして巡礼旅で欠かせないアイテムが杖、ひょうたん、ホタテの貝殻だということで売店に買いに行きました。
長距離歩くので杖はわかるのですがひょうたんとホタテの貝殻はなんで??
昔の巡礼者はひょうたんを水筒として使っていたので。そしてホタテ貝はサンティアゴが産地として有名で巡礼のシンボルになっているから今はそれらをお守りとして携帯するようになったそうです。
これで準備万端、サンティアゴ大聖堂を目指していよいよ出発です!
所々でホタテ貝のマークがあり矢印が描かれているので道を間違うことはなく進むことができます。
雄大でのどかな景色が広がります。訪れたのは8月。日差しは強いのですが乾いた風が心地よく足取りも思わず軽くなります。
歩くこと約10キロ。巡礼者専用宿泊施設に到着しました。私はここに宿泊しないのですがこちらで巡礼手帳にスタンプを押してもらいます。このスタンプは宿泊施設の他にも、教会、観光案内所、バルなどで押してもらうことができます。
スタンプを押してもらうと、歩くモチベーションが上がりますね~!
宿泊施設を出て歩き続けます。スタート地点から約20キロ、ペドロウソに到着。今夜宿泊する町です。20キロ歩くとさすがに疲れました。
こちらでは巡礼者専用宿泊施設をアルベルゲと呼びます。公営の施設で基本は素泊まり、料金は約10ユーロです。またホテルと違って予約ができないので、ちょっと早めに空いているアルベルゲをみつける必要があります。
明朝は午前5時に出発、まだ辺りは真っ暗です。サンティアゴ大聖堂まであと20キロ。前日20キロ歩き、その前はトマト祭りに参加、正直言うとかなり疲れが残っています。
しかし、日が昇ってきて明るくなると他の巡礼者たちに出会うことが多くなりました。そしてお互い声を掛け合い励まし合います。
一人で歩く人、家族と歩く人、自転車に乗ってサンティアゴを目指す人、いろんな人との出会いに元気づけられました。
ゴールまであとすこし。足腰がかなり痛くて辛いのですが気力をふりしぼって歩きます。すると遠くに大聖堂が!
大聖堂が見えたことでテンションアップ!先ほどまでの疲れを忘れ歩くスピードが上がります。
そしていよいよゴールです!目の前にあの大聖堂が!建造物というよりまるで芸術品のようです。そしてその存在感に圧倒されます。
まるで大聖堂が出迎えてくれたかのような気分になり、不思議と安心感に包まれました。辺りを見渡すと大勢の巡礼者たちがそれぞれこの時間を楽しんでいるようです。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂のあるオブラドイロ広場を中心とした旧市街全体が世界遺産に登録されています。
大聖堂の中は荘厳な雰囲気が漂います。巡礼者や参拝客たちは順番に聖ヤコブ像に後ろから抱きつき感謝の想いを伝えます。
そしてしばらくするとミサの時間を迎えました。ミサでは大きな香炉でお香が焚かれる儀式が行われます。このお香、ただのお香ではありません。
この大きな香炉はボタフメイロと呼ばれ約50キロあるそうです。ロープで繋がれた香炉が上下左右に大きく振られることでお香の煙が大聖堂の中に広がります。厳かな行事ですがダイナミックでもあります。旅で疲れた巡礼者たちを癒す時間なんですね。
今回私は約38キロしか歩きませんでしたが、道中で多くの出会いありました。一人で歩いているのではなく大勢の人たちと同じゴールを目指している気持ちになりしんどい時も歩き続けられたのだと思います。
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