西国三十三所巡礼には
三十三の札所以外に
番外札所と呼ばれるお寺が
三か所あるのをご存じでしょうか?
今回はその番外札所のひとつ、
兵庫県三田市にある
花山院菩提寺を目指します。
早朝でまだ薄暗い中、
有馬温泉の太閤橋からスタートです。
有馬温泉
有馬温泉はその昔、
巡礼者たちが旅の疲れを癒やす場として
重宝されたそうです。
そして豊臣秀吉はこの有馬温泉を大変気に入り
正室ねねと共に9回訪れました。
有馬温泉の中心地から少し離れたところにある
林渓寺にやってきました。
林渓寺
ここ林渓寺の境内に
樹齢約250年の「未開紅」と
呼ばれる梅の木があります。
この木になる梅の実を食べ温泉に入ると
子供を授かるという言い伝えがあるそうです。
秀吉の妻ねねには子供がいませんでしたが、
梅が苦手で食べなかったと言われています。
もしねねがこの梅を食べて有馬温泉につかり
子供を産んでいたら
歴史はどうなっていたんだろう~
と勝手に想像をふくらませてしまいました。
有馬温泉から約8キロ、
お寺が見えてきました。
布袋寺
布袋寺は1522年に
平教経の子孫、
宮崎弾正二郎広綱が創建しました。
ここ布袋寺には大変貴重な
平清盛の自画像があります。
ご住職にお願いして見せていただきました。
これは清盛さんの自画像と言われていますが、おそらく本人が描いたのではなく、寺を建立した宮崎家の末裔が描いて残した物だと思います。
……あれ?
どうしたの?
ご住職、清盛さんに似てますよ!
やっぱり似てる!
ほんまやね!
布袋寺を出て歩くこと約4キロ、
ここから三田市に入ります。
さらに歩き続けると
石碑をみつけました。
川本幸民の石碑です。
川本幸民の石碑
川本幸民(1810-1871)は
江戸時代から明治時代にかけて
活躍した学者で、
日本で初めて「化学」という
言葉を使いました。
さらに日本で初めてビールの製造、
マッチの製造、写真撮影に
成功したのも川本幸民なのです。
すごい方ですね~!
晩年は三田で英蘭塾を開き
教育に力を入れたそうです。
北に向かって歩き続けると
きれいな形の山が見えてきました。
有馬富士(標高374メートル)です。
この日はお寺以外にも
いろいろ立ち寄ったので
すでにあたりが暗くなってきました。
花山院菩提寺の参道の入り口まで
たどり着いた時にはごらんの通りです。
もうあたりが真っ暗で何も見えませんよ~。
歩くペースと時間配分を完全に間違ってしまったね…。
昔の旅人も道中で日が暮れると
不安にかられたことでしょう。
花山院菩提寺まであと900メートル、
最後の力を振り絞って
急な山道を登ります。
そしてようやく到着です~!
花山院菩提寺
西国三十三所巡礼番外札所の
花山院菩提寺。
西国巡礼の中興の祖、花山法皇が
41歳で崩御されるまで
ここで仏道修行に励んだのだそうです。
そして境内からは花山法皇が愛した
美しい景色が見えます。
夜は暗くて見えませんが
昼間は有馬富士の姿が。
花山法皇はこの景色を見て歌を詠みました。
有馬富士 麓の霧は海に似て 波かと聞けば 小野の松風
有馬富士にかかった雲海を見て
松風の音を波の音に例えた歌です。
私とくっすんが到着するのを
ご住職が待ってくれていました。
今日は歩く距離が長くて山道もあって大変でした。
何回もくじけそうになりました~。
お寺に着くことだけを目的に歩くとするとしんどいばかりですよね。巡礼というのは自然から気をいただくつもりで歩くといいですよ。
確かに有馬富士を眺めていた時は
不思議と気持ちが安まりました。
自然から気をいただくというのは
そういうことなのかもしれませんね。
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